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アナタは五重十文字を正しく理解していますか?
胴造りを行うことで完成する
- 「三重十文字」
は初心者でも知っていると思いますが、射法八節の六節・会まで行くと
- 「五重十文字」
が出来ているはずです。
五重十文字は少し難しいので、部活動レベルでは高校生くらいになってから習うことが多く、初心者や中学生にはあまり馴染みのない技法かもしれません。
しかし、
- 正しい会の姿勢を取るためには五重十文字の理解が必要不可欠
です。
というよりも、本当に正しく射法八節の手順を踏めば、会の段階で五重十文字が完成するはず…というのが正しい表現になるでしょうか。
五重十文字の重要性についてすでに知っている、または五重十文字をすでに修得しているという方は、この記事を読む必要はありません。
しかしまだ五重十文字をハッキリと理解しているという自信の無い方は、必ずこの記事を読んで五重十文字を作れるようになってください。
弓道歴が何年あろうとも、五重十文字を正しく行えない限りは、初心者から中級者に上がることはできないでしょう。
今回は、五重十文字に含まれる「五つの十文字」をひとつづつ解説していきます。
なお、この記事では便宜上1〜5までの数字を付けて順番に解説しますが、それぞれの十文字の順番や重要度の差があるわけではありません。
1.弓と矢の十文字
まずは
- 「弓と矢」が十文字になる
ことに着目してみましょう。
基本中の基本となる十文字ですが、意外と勘違いしている方が多いので、再確認しておくことも大切です。
この十文字は弓がタテの棒、矢がヨコの棒で交わっているものです。
しかしこのとき、タテの棒を「弓本体」だと勘違いしてしまう初心者が多いので注意が必要です。
- タテの棒は「弓本体」ではなく、「末弭(うらはず)と本弭(もとはず)を結ぶ直線」
というのが正解になります。
弓を引いていない上体で言えば「弦」がタテの棒ということですね。
ヨコの棒は、もちろん「矢」ということになります。
矢はつがえた状態にしておくため、地面とほぼ水平にしておきます。
弓を引分けたとき「弓が地面から垂直、矢が地面と平行」という2つの条件が整っていれば、最初の十文字は修得できていると考えてよいでしょう。
2.弓と弓手の手の内の十文字
次に注目するのは、
- 「弓と弓手の手の内」が十文字になっている
かどうかという点です。
イメージしづらいという方は、実際に弓を持って手の内の形を確認してみましょう。
この場合は
- 弓がタテの棒、弓手の手の内がヨコの棒
ということになります。
タテの棒である弓に対して、弓手の手の内が綺麗に垂直に合わさっていれば十文字型になっているはずです。
手の内全体を垂直にするというよりは、弓手の中指を弓に対して垂直にするイメージで行うと十文字が作りやすいかと思います。
弓道を続けていると、手の内が「ベタ押し」「上押し」と呼ばれるような形に変形してしまう方がいます。
ベタ押しや上押しが何故いけないのかと言えば、単純に「五重十文字が作れないから」なのです。
弓を持った状態でわざとベタ押しの手の内を作ってみれば、中指が弓に対して絶対に垂直にならないのが確認できますので、試しにやってみてください。
正しい五重十文字を修得するためには、手の内の作り方ひとつから改善していく必要があるのです。
3.弓懸の親指と弦の十文字
これに関しては「懸口十文字(かけぐちじゅうもんじ)」という名前で指導されることもあります。
名前はあまり重要ではないので、呼びやすいように憶えて頂いて構いません。
懸口十文字は、会に入った状態で完成する十文字です。
会の姿勢に入ったとき、
- 弦がタテの線、弓懸の親指がヨコの線
となって十文字を構成します。
手の甲を横に向けた状態だと、馬手の親指は自然と下向きになってしまいます。
しかし手の甲をグッと捻って上向きにすることで、自然と親指が横向きになり、弦と十文字になっていくはずです。
弓懸の中の親指は見えないので分かりにくいかもしれませんが、上級者の馬手を確認すると必ず懸口十文字が出来ているのが確認できます。
4.胸の中筋と両肩を結ぶ線の十文字
次に「胸の中筋と両肩を結ぶ線の十文字」を意識しましょう。
この十文字を意識することは、弓を構えた状態で正しい姿勢をキープできているかを確認することに繋がります。
胸の中筋というのは、単純に体の中心線の事を言います。
右胸と左胸のど真ん中、ちょうど
- みぞおちがある場所のタテ線
を言えばわかりやすいでしょうか。
胸の中筋を地面から垂直に立てるということは、つまり「体を傾けないように立つ」ということになります。
両肩を結ぶ線は、右肩と左肩の頂点を結ぶ線のことです。
もちろん実際にそのような線があるわけではありませんが、要するに「片方の肩を下げるな」ということですね。
- 両肩の位置は常に水平に保っておく
よう心掛けます。
的中率の高い弓士の姿勢を確認してみれば、
- 胸の中筋と両肩を結ぶ線が綺麗な十文字を描いている
ことに気が付くと思います。
胸の中筋と両肩を結ぶ線がブレないということは、矢を放つ方向を見失わないということでもあるからです。
5.首筋と矢の十文字
最後に、自分では確認しづらい難関といえるのが「首筋と矢の十文字」です。
これまでに一度でも
- 首筋と矢の十文字が正しく作れていない
と注意された経験がある方は、徹底的に姿勢の矯正に努めてください。
何が間違っているのか解らなければ、自分が弓を構えている姿をムービーに撮って確認してみると良いでしょう。
この場合、
- 「首筋」というのが十文字のタテ線
になります。
的の方向にグーっと顔を向けたとき、首の横には盛り上がった筋ができますよね?
縦方向に伸びるこの筋をタテ線とし、
- 地面と平行に構えた矢がヨコ線
となって十文字を構成します。
この十文字ができていないという方に共通しているのは、「顔向けが浅い」ということです。
首の柔軟性を上げ、しっかりと首を的の方向に向けられるように練習しておく必要があります。
五重十文字の解説動画
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