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的中に走っている人を見てついヤキモキ
地道に射形の稽古をしている人にとって、試合などで射形を軽んじているのに、的中で入賞している人を見ると「なぜあんな射形で中るの?」と、つい悔しくなってしまいますよね。
また、的中が安定しているのに、射形を直すことによって的中が安定しなくなったり、何カ月も中りが出なくなったり。
そんなときは徐々に、稽古のモチベーションも下がってしまいがちです。
しかし弓道において
- 目指すべきは射法の向上や自己鍛錬
であって、中りではありません。
的中が全てではないことをわかっていながらも、つい的中に走っている人を羨ましく感じたり、射形のスランプに陥って稽古のモチベーションが保てなくなったりしたときに、自分を奮い立たせて、射形の稽古をするための考え方を、今回はご紹介していきます。
的中に走る弊害@:的中に走った中りは続かない
当たり前ですが、的中に走った射では中りは続きません。
「あの人は射形が崩れている(射形を直すつもりがない)のに連続して中っている」
と悔しい気持ちになったとしても、長い目で見てください。
数日後、数週間後、きっとその人は中らなくなっているはずです。
射形に満足いかないからといって、試合前や昇段審査前に、大きく射形を改めるのはオススメしませんが、あくまで
- 中りよりも射形を大事にする
というスタンスは大事です。
童話『うさぎとカメ』のように、コツコツ努力した人が最後に報われると信じましょう。
的中に走る弊害A:目標を混同してしまう
「中りが出なくて苦しい」
「中る人が羨ましい」
と焦っている方は、稽古の目的が「中りという結果を出すこと」になっていませんか?
社会では何かと「結果を出す」ことが求められますが、弓道においては
- 「結果は自然と出るもの」
です。
正しい射を追求していけば、中りは後からついてきます。
中り本数を目標にして焦っている方は、毎回の
- 稽古の目標を「小さな射形改善」に設定
してみましょう。
そうすれば、中りがなくても自分の成長をしっかり感じて、稽古のモチベーションも上がるはずです。
的中に走る弊害B:弓道の基本理念から外れている
そもそも「中りに走る」というのは、弓道の基本理念から外れています。
- 「射は仁の道なり。射は正しきを己に求む」
弓道場ならば必ず掲示してある、禮記射義の一節ですよね。
相手がいて競ったり妨害したりする他の武道やスポーツとは異なり、常に1人で自分と戦います。
禮記射義には
- 「発して中らざるときは即ち己に勝るものを恨みず、反ってこれを己に求むるのみ」
という一節もあります。
人と比べることをせず、結果が出ないときは、相手を妬んだり恨んだりすることもなく、
ただただ自分を高めたり、正しく保って行こうとするところに弓道の精神性があります。
こういった教えを理解してこそ、本当の意味での弓道人と言えます。
中りに走っている人に嫉妬しそうになったときは、禮記射義を思い出しましょう。
どのようなスタンスで弓道をしているかは、射を見ればわかります。
正しい射を目指している人は、周りで弓道をしている人からも信頼され、尊敬されるはずです。
射は正しきを己に求む
数ある武道・スポーツのなかで、相手もおらず、ただただ毎日同じ環境で、ひたすらに自分の射を振り返り、自分と向き合うものは他にあるでしょうか。
しっかりと
- 自分に向き合い
- 人を恨まずに自分を高めて行く弓道の精神
- 自己コントロールの精神
は、弓道だけではなく、日々の暮らしや生活、学校や仕事にも役に立ちます。
今時点で稽古が苦しく感じても、それを乗り越えたときには射の技術だけでなく、人としても大きく成長できるはずです。
小手先の中りではなく、射を通じた精神性も大切にすることで、一段高いところを目指していきましょう。
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