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弓道におけるクセを「射癖」という
- 「射癖」
という言葉を聞いたことがあるでしょう。
ひとことで言うなら、
- 射癖とは「弓を引くときのクセ」
のことです。
弓道は全ての武道のなかで、最も「正確性」を重要視する稀有なものです。
ただ射った矢を的に当てれば良いというわけではなく、
- 入退場の仕方
- 弓の持ち方
- 構え方
- 姿勢
- 礼儀
に至るまで、定められた基準をキッチリと守る必要があります。
段位を取得するために必要な要素においても、初段や二段の段階では的中率より、動きの正確さのほうがよほど重要視されているほどです。
それゆえに、射癖は「上達を阻む障害」として嫌われています。
完璧な動きが求められる弓道において、射癖は的中率を下げることはもちろん、見た目の美しさをも損なうデメリットの塊に過ぎないからです。
誰でも一度は何らかの射癖を患うものですが、段位を上げていくためには、早急に射癖を矯正することが必要不可欠といえるでしょう。
射癖は悪いものばかりではない?
弓道を修める以上、射癖が無いに越したことはありません。
しかし最初から完璧なフォームをこなせる人など、どこにもいませんから、誰でも一度は何らかの射癖がついてしまうものです。
あとで矯正すれば良いだけのことなので、射癖がついてしまったからといって、落胆することはありません。
ひとくちに射癖といっても、その種類は人によって千差万別です。
指摘されればすぐに直ってしまう程度の射癖もあれば、中級者に至ってもなかなか直らずに苦労するものもあります。
大切なのは
- 射癖をつけないようにすることではなく、一度ついてしまった射癖をいかに早く直すか
ということなのです。
また、数ある射癖のなかには「初心者であれば大して気にする必要がない」ものがあることをご存知でしょうか?
もちろん「良いクセ」とまでは言えませんが、初心者の段階では、躍起になって直す必要性の薄い射癖というものが存在するのです。
初心者は気にする必要の無い射癖とは
初心者の段階で直す必要のない射癖には、いくつかの種類があります。
ただ、これはあくまで一般論であり、流派や指導者によっては「すぐに直すべきだ」と考えている場合もあることを明記しておきます。
以下の射癖をどのタイミングで直すべきかという最終判断は、従事している指導者の指示に従うようにしてください。
打ち起こしのときに肩が上がるクセ
初心者によく見られる射癖ですが、打ち起こしの際に肩が上がってしまう方がいます。
本来なら打ち起こしで肩を上げるべきではないので、いつかは直す必要がありますが、初心者の段階では大して気にしなくても良いでしょう。
弓を上げる動作に慣れていない初心者は、肩が緊張してこわばってしまうことがあり、今後の成長を考えるとそちらの方が問題です。
見た目の型とは違いますが、肩が高く上がっているということは、ちゃんと肩の動きが弓に連動しているという証拠でもあります。
打ち起こしで肩が上がってしまったとしても、引き分けの動作に移れば、自然と肩は正しい位置に収まるはずなので、一連の動作を修得するまではこの射癖を直す必要はありません。
頬付胸弦がつかない
引き分けを行った際に矢が頬につき、弦が胸にあたることを「頬付胸弦」といいます。
頬付胸弦は会を安定させるための重要な方法であり、上級者のほとんどは頬付胸弦を完璧に修得しています。
しかし、初心者の悩みとしてよく「胸弦がつかない」という言葉を耳にします。
これも一種の射癖といえますが、しかし頬付胸弦がつかないのは初心者にとっては、当たり前ともいえる状態なので、大して気にする必要はありません。
むしろ、一連の流れが完璧に至っていない状態で、頬付胸弦ばかり気にしてしまうと、矯正の難しい変な射癖がつく原因にすらなりかねません。
頬付胸弦は練習して身に着ける方法というよりも、むしろ「練習を続けているうち勝手に身に着く」ものです。
地道に練習を続けていれば、いつの間にか弦が胸につくようになっていきますので、早々に身に着けようとする必要は無いでしょう。
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