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多くの人は引き分けでクセがついてしまう
中級者と呼ばれるころには、初心者のときほどぎこちない動きはしなくなりますが、しかし中級者になる頃には新たな問題に直面する人も多いものです。
その問題というのが
- 「射癖」
つまり、弓道における悪いクセのことです。
射癖は人によって異なりますが、射癖がプラスに働くことはほとんどありません。
独特な射癖ほど的中率を下げることに繋がるので、上級者に上がるためには何とかして射癖を正す必要があります。
…と口で言うのは簡単ですが、一度ついてしまった射癖を直すのは、ハッキリ言って容易なことではありません。
では、問題の射癖とは、いったいどのようなタイミングでついてしまうものなのでしょうか。
一般的によく言われているのは、
- 射癖のほとんどが「引き分け」を習得するときについてしまう
というものです。
例えば、
- 引き分けで手首が手繰ってしまう方
- 引きが小さくなってしまう方
- 明らかに会が短い方
- 離れが緩んでしまう方
一度は見覚えがありますよね。
こうした射癖の原因を探ってみると、引き分けのやり方が原因となっているケースが多いことがわかります。
そのため初心者は、射癖をつけないために
- 最初から徹底的にフォームを整えておく
必要があります。
一方、すでに射癖がついてしまっているという中級者は、今一度引き分けの仕方を学び直し、射癖を正すことが上達のカギだといえるでしょう。
「引く」のではなく「押し開く」
引き分けという言葉に引っ張られて、弓は「引く」ものだと思っていませんか？
おかしな射癖がついている人ほど、引き分けという言葉を素直に捉えすぎてしまい、腕の力で弓を引いてしまっていることがあります。
実は、
- 中級者と上級者の大きな違いは「引き分けに対する考え方」
にあります。
初心者〜中級者は弓を「引き」ますが、上級者は弓を「押し開いて」いるのです。
アナタには「引く」と「押し開く」の違いがわかりますか？
もしも分からないのであれば、きっとまだアナタは弓を「引いて」いるということなのでしょう。
簡単に説明するなら、
- 弓を「引く」というのは「自分のところに腕づくで引っ張っている」
という感じです。
一方で、
- 弓を「押し開く」というのは、「弦を自分から遠ざけるように上半身の力で弓を開く」
というイメージです。
傍から見た動きは大きく違いませんが、この2つは力の使い方という点で、全く違う動きなのです。
右肘は後ろに引くものではなく、弓を押し開いたことで自然に降りてくるものです。
腕の力だけに頼らない「押し開く」引き分けを修得すれば、射癖の矯正になりますし、的中率を上げることにも繋がります。
引き分けでついたクセは怪我の原因になることも
射癖を矯正すべき理由は、単に上達に関わるからというだけのことではありません。
引き分けでついた射癖をそのまま放置しておくと、思わぬ怪我の原因に繋がる可能性も、決して低くはないからです。
例えば、
「手首を曲げたままで弓を引く」
というクセがある方がいらっしゃいます。
手首を曲げることが常態化してしまうと、肘を使うことが少なくなり、弓を引くたび関節に大きな負担をかけるようになってしまいます。
弓道を続けるうちに、肘や手首の痛みを訴える方がいますが、そうした方の射形を見てみると、高い確率で手首で弓を引いていることが発見できます。
自分で射癖がついていることに気づいたら、極力早めに矯正するように心掛けましょう。
射癖による怪我は練習を続けるほどに慢性化しやすいため、痛みに耐えて練習を続けると選手寿命を縮めてしまいかねません。
押し開く引き分けの方法
上級者が実践する「押し開く引き分け」は、早いうちから学んでおくべきです。
まだ初心者だから…と遠慮をする必要はありませんし、むしろ早めに学んでおくことで、無用な怪我や射癖がつくことを防いでくれます。
もちろん一朝一夕で身に着く技術ではありませんが、イメージだけでもきちんと固めておいたほうが良いでしょう。
「引く」とイメージしながら練習するのと、「押し開く」とイメージしながら練習するのにも、必ず大きな違いが現れるはずです。
押し開く引き分けを行うときは、まず
- 自分の体の前に弓を持ってきます。
- このとき決して右手を自分の体に引き寄せようとはせず、弦を押すように動かしてください。
- 押し動かした弦は自分の体の外側を通すようなイメージで、ゆっくりと少しづつ押し開いていきます。
この方法で引き分けを行うと、自然に弦が自分の体に近くなります。
腕の力で弓を無理に引かなくとも、自然なフォームで押し開けば、ちゃんと弦は寄ってくるものなのです。
また、力づくで関節を曲げる動作が無いので、怪我をするリスクも低く姿勢が安定するというメリットもあります。
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