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「丹田」とは何か
- 「丹田(たんでん)」
に言及している書籍も少なくありません。
丹田は弓道のみならず、空手や合気道などの日本武術でも重要視されている考え方なので、聞いたことがあるという方も多いでしょう。
「弓道に丹田が必要かどうか」という本題はさておいて、まずは丹田というものが一体なんなのかについて説明しておきましょう。
呼吸法や重心のコントロールに役立つ
丹田とは、へその下9cmほどの部分を指す言葉です。
単に体の部位を指す言葉というよりも、武術の世界において
- 丹田は「気力が集まる場所」
を意味していました。
少なくとも4世紀ごろの中国には、すでにへその下を丹田と呼び、気を練るために重要な部分としていた記述が残されています。
「気力が集まる場所」なんて言い方をすると、眉唾物のように聞こえてしまいますが、丹田は実際に武術家にとって、重要な役割を果たします。
丹田は要するに「下腹部」のことであり、そこをしっかりと鍛えておくと
- 呼吸法
- 重心のコントロール
に役立つのです。
また、丹田は全身の中でも、血液循環が最も激しい部位のひとつです。
丹田の周囲にある筋肉を鍛えると、血液の流れが良くなり、全身にくまなく血液を循環させることができます。
血液の循環は、大きな力を発揮するためには欠かせない要素なので、これも武術家にとっては重要なメリットだといえますね。
丹田を意識することが実力の低下に繋がる!?
日本古来の多くの武術において、重要視されている丹田。
しかし結論から言って、
- 弓道家が丹田を意識しすぎると実力の低下に繋がる
ことがあります。
弓道は他の武術に比べて、かなり繊細な競技です。
姿勢や重心の取り方ひとつ間違えるだけでも、的中率は大きく下がってしまいます。
射法八節を守り、ひとつひとつの動作を完璧に磨き上げることが、弓道における唯一の上達法ともいえるのです。
すでにほぼ完璧な動作を身に着けているならまだしも、まだまだ成長途中の弓士が、丹田に意識を向けることは「姿勢の乱れ」を招きかねません。
指導者のなかにも「丹田に力を込めて」と指導する方がいますが、そもそも丹田に力を込めるというのは、言われてすぐにできる事ではないのです。
急に丹田に力を込めるよう指示されても、ほとんどの人は実行できないでしょう。
無理に下腹部に力を込めようとすると、上半身の姿勢が崩れるので、的中率も上がることはありません。
丹田には「自然に力がこもる」のが正解
弓道家にとって丹田を意識することは、デメリットの多い行為です。
しかしあくまで「意識する」のがいけないということであって、「丹田を活かす」ことが悪いという意味ではありません。
いうならば丹田は力を込めようと意識するものではなく、
- 「自然に力がこもる」状態になるのが正解
なのです。
弓道における「丹田に力を込めた状態」というのは、いわば
- 「丹田に重心が乗っている状態」
のことをいいます。
足踏みから胴造りにかけて正しい姿勢を意識すると、体重が足裏全体に均等にかかります。
その状態になると、上半身と下半身の中間地点である丹田に重心が乗り、自然と力がこもった状態になるのです。
そのため、弓道家は「丹田を意識する」必要はありません。
意識せずとも、射法八節を磨き上げ正しい姿勢が取れるようになると、勝手に丹田を使いこなせるようになるからです。
長年弓道に携わってきた上級者は、皆一様に丹田を活かして射を行っています。
しかし、多くの上級者は弓道を磨き上げるうち、自然に丹田を活かせるようになっただけであり、わざわざ「丹田を意識している」という人はあまりいないのです。
上半身の力を抜くと自然に丹田に力が入る
では、どのように練習すれば丹田に自然な力が入るようになるのでしょうか。
射法八節を完璧に修得するというのは当たり前として、ここでは丹田に力が入る姿勢の練習法について、ご紹介していきたいと思います。
人体の構造上、地面と垂直に立つことで丹田に重心がかかります。
首を上に伸ばし、背骨を湾曲させないように意識し、左右の肩を均等に下げてみましょう。
このとき、
- 下腹部と肩に力をかけて硬直させない
ことが大切です。
こうして文字で書くと難しいことのように見えますが、要するに「直立して上半身の力を抜く」というイメージです。
上半身の硬直を解くと、その重みは下半身に向けて下がりますから、自然と丹田に力が入ることになるのです。
いきなり弓を引きながら丹田に力をこめるのは、難しいと思いますので、まずは何も持たない状態で丹田に力をこめてみましょう。
意識せずに重心が下がった感覚を覚えたら、射法八節を崩さないように注意しつつ、弓を構えて練習してみます。
大切なのは、上半身をリラックスさせて、無用な力を入れないように練習することです。
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