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【そもそも「遠的」とは何かを理解しよう】
- 「近的」
- 「遠的」
の2種類があります。
礼儀作法や競技規則は原則として同じですが、近的と遠的にはコツや考え方といった点で様々な違いがあることを理解しておきましょう。
そもそも遠的とは、読んで字のごとく「遠距離の的を狙う」競技です。
一般的な弓道場は60メートルの射に対応して設計されていることが多く、主に50メートル以上先にある的を狙う場合が遠的とされます。
弓道場の設計上、50メートル〜60メートルの遠的が限界になってしまうことが多いですが、全日本弓道連盟の競技規則では
- 50メートル
- 60メートル
- 70メートル
- 90メートル
の4種が認められています。
ちなみに近的の場合は、的までの距離が28メートルと定められています。
遠的だと最低でも50メートル以上・一般的には60メートルの競技が盛んに行われていますから、近的と遠的では狙う的の位置に倍以上もの差があることになります。
大枠では同じ弓道とはいえ、狙う的の位置にこれだけの差があれば、もはや別競技といっても過言ではないほど「やり方」に違いが生じてしまうわけです。
また、近的と遠的では審査の方法についても違いがあります。
一般的に近的競技は的中制によって審査が行われますが、
- 遠的競技は得点制
で審査されます。
的の大きさも近的で直径36センチ、遠的で100センチと異なりますので、実際に挑戦してみると近的と遠的には見た目以上に差があることを実感できるかと思います。
一概にどちらが難しいという話ではなく、近的が得意という弓士もいれば、遠的のほうが得意だという弓士もいらっしゃいます。
【弓道の遠的では腰切りのやり方が違う】
初心者のうちはなかなか理解しづらい「腰切り」という概念。
日常生活において「腰を切る」という動作をすることはないので、弓士でもなければこの言葉の意味を理解するのは難しいでしょう。
文章だけで説明するのも難しいところですが、一応まずは腰切りについて軽く解説しておきます。
腰切りは、坐射(ざしゃ)一連の中で行われる動作のひとつです。
両ひざを地面につけた状態で腰を前方上に引き上げ、両ひざで立つような動作をまとめて「腰切り」と呼ぶわけです。
弓士でない方にもイメージしやすいように言うなら、「ひざ立ち」のイメージに近いと言えますね。
実は、遠的の腰切りは近的とはやり方が少し違います。
やり方…というよりは、考え方というかコツが違うといったほうが正確でしょうか。
いつも通り近的のやり方で腰切りを行うと、遠的では失敗に繋がってしまう恐れもあるので注意してください。
何が違うのかといえば、
- 遠的では「退く胴」が推奨
されていることです。
一般的に近的では良くないとされている退く胴ですが、遠的では退く胴のほうが安定した射を行えると言われているのです。
近的で退く胴が推奨されない理由は、この体勢だと腰が引かれやすく上下の伸びが失われるからです。
しかし実は、退く胴になっていると前後に対する体の安定度が高まるという利点もあるため、遠的ではむしろ退く胴のほうが有利になるというわけです。
【弓道の遠的と近的で射法に違いはない?】
これは人によっても考え方の異なる部分だと思いますが、遠的と近的の射法そのものに大きな違いはありません。
先ほど解説した「退く胴」の話も含め、細かい部分の考え方に違いはあっても、基本的に射法はいつも通りで問題ありません。
途中までは近的と全く同じ射法で狙いを定め、より遠くに矢を飛ばすために少しだけやり方を変える…というようなイメージで捉えてください。
遠的で苦戦した初心者は、「近的と遠的には全く違う射法があるに違いない!」なんて思ってしまいがちです。
しかし遠的のコツは強いて言うなら「何度も繰り返して慣れること」です。
他のスポーツとは違い、弓道は自分ならではの工夫をしないほうが成功する競技です。
サッカーや野球なら選手個人の「オリジナルの技法」が通用することもあるでしょうが、弓道は「伝統的な技法」をひたすら反復して体に覚え込ませていくしかないのです。
射法八節を正しく行い、何度も遠的を繰り返していけば必ず的に中るようになるはずです。
それでも不安だという方に、劇的な解決法ではありませんがちょっとした「改善法」になるかもしれない考え方をご紹介しておきましょう。
まず遠的で狙うときは、近的の的付けと同じ要領で狙いを付けてみてください。
曖昧に狙うのではなく、縦の線と横の線を調整するようなイメージで左右の方向を決めていきます。
しかし遠的の場合は的が見えないという問題があるため、近的の射法で的付けをしてから腰を曲げて迎角をつける「二引き」を行うのです。
弓道をやっていればほとんどの方が無意識に行えるようなことでしょうが、これを意識するか無意識に行うかでは結果にも違いがでます。
他にも細かいコツはありますが、自分で勝手に工夫すると変な射癖がついてしまいかねませんので、欠点の調整は指導者に相談しながら行うのがよいでしょう。
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